大学生を対象に,怒りの鎮静に効果的であると考えられている7つの対処方略が,実際に効果的であるか否かを検討した。パス解析の結果から,経験直後の怒り強度の影響を受けて生起する対処方略(攻撃行動・社会的共有・物への転嫁・原因究明・気分転換)が怒りの鎮静に対して有意な影響を及ぼさないのに対して,経験直後の怒り強度の影響を受けない対処方略(忘却・合理化)は怒りの鎮静に有意な影響を及ぼすことが示された。さらに,忘却は怒りの鎮静を妨害する対処方略であるのに対して,合理化は怒りの鎮静を促進する対処方略であることが明らかとなった。