本研究では,攻撃場面における第三者の傍観行為に対する幼児の善悪判断の発達的変化を検討した。年少児から年長児を対象として善悪判断を求めた結果,発達に伴い,傍観行為を許容できないと判断するようになることが示された。また,自己報告の結果から,発達に伴い,傍観せずに,加害者に対して口頭で注意するなどして攻撃場面に介入すると報告するようになることが示された。年長の幼児ほど傍観を許容できないと判断する背景には,発達に伴って,加害者の行為や被害者の感情についての理解が深まることや,攻撃場面に介入する上での方略を想起することが可能となることなどがあると考えられる。