発達障害児・者が社会的場面での適切な言動を学習するための課題に関して、実写によるビデオ場面集を作成し、発達障害者1名に試行した。その結果、1) グループ活動での会話場面で、相手の表情や視線などの様子を意識しようとする意欲が見られた。2) 最初は雑談の内容が全く分からない様子であったが、何度も聞くことで、その概要の記述ができた、等の対象者の変化が報告された。繰り返し視聴できるので、場面の状況や適切な行動のポイントなどを説明しやすい、人とのかかわり方だけではなく、表情を読む、視線や語調の違いに気づく、気持ちを知る、雑談の内容を理解するなどの課題としても使用できる利点があり、教材としての有用性が示唆された。しかしながら、日常場面への明らかな効果が見られたとは言えず、学習内容の定着やコンピュータ利用に適した設問内容・形式の検討、般化を促す支援方法の工夫などが、今後の課題として提起された。