コミュニケーション障害である聴覚障害に発達障害を併せ有すると,他者との関わりが必要である集団場面において著しい困難が予想される。本稿では,「発達障害のある聴覚障害児のための学習活動・ダンボ」における集団活動の概要と,継続的な集団活動への支援を通した児童の変容と課題を報告した。一斉指導においては,コミュニケーション手段や理解度の多様な児童らに対し,ロールプレイや大画面ディスプレイの利用など視覚教材の提示の工夫を行うことで理解を促し,「あそび」に集中できるようにした。併せて,活動に目標や見通しを持たせたり,活動の区切りを明確にすることに配慮している。また,集団活動への参加に課題のある児童に対しては,個別指導中に集団活動の練習をしたり,集団活動における役割を与えることでスムーズな参加を促した。継続的な支援の中で集団活動への参加が円滑となってきたが,児童同士の関わりをより深めるためには大人を介さずにやりとりできる手段や能力が必要であり,発達障害的な困難さを支援すると同時に,きこえにくさへ十分に対応していくことや,自己の障害認識の重要さが示唆された。