中等教育研究紀要 51 号
2005-03-31 発行

教育先進国であるフィンランドの文化芸術教育の視察研究

A Study on the Education of Cultural Arts of Finland, an Advanced Country of Education
尾澤 勇
全文
3.67 MB
KJ00004291629.pdf
Abstract
フィンランドは経済的にも国際社会から多領域で比較し,世界最高水準の評価を受けている。またそれを生み出す教育も高く評価され注目されている。日本でもフィンランドの教育を注視している。しかしフィンランドのパソコン教育の充実やインフラの整備,起業家を育てる教育など,わかりやすい部分の,目に見える学力の比較で終始している。本質的な「学力」の醸成という深い見かたがなされていない。そこには芸術文化教育はいったいどのように教育されているのかという視点も無い。私は,フィンランドが自国の地域,文化・芸術教育を大切にしてきた基礎があるからこそ,ひらめきであるとか,独創的発想が育まれ多くのベンチャー起業家を輩出するなど,国際競争力向上の源泉となっているのではないかと推察した。視察を通して,文化芸術教育が低学年から保護者や地域,学校を通して育まれていることがわかった。文化を多方面より浸透醸成していく環境が工夫されていた。低学年より「ものづくり」を通して様々な事象と多く向き合う教育経験が実際の「生きて働く学力」を育む国民的基礎となっていることをこの視察を通して実感した。さらに研究を深める計画である。