学部・附属学校共同研究紀要 38 号
2010-03-31 発行

生徒の非行化を防止するために学校が独自にとりうる措置と, 家庭・関係機関・地域社会との連携(VII) : 卒業生の面接調査から生徒指導の効果を発掘する

The school's proper actions and cooperation with its students' families, the related agencies, and their community in order to prevent them from turning into wrongdoings : Some findings from the interview survey to the graduates of a junior high school affiliated with a university.
金丸 純二
木本 一成
全文
1.56 MB
AnnEducRes_38_355.pdf
Abstract
1980年代前半と90年代前半に附属学園で中学校生活を送った卒業生からの聴取内容を基に, 当時の生徒指導態勢の比較を行った。80年代の問題行動は, 男子の場合, 外部の少年グループとの交友に起因するものが主だった。女子の場合には, クラブ前後の外食や容貌の細工など一般にありふれた逸脱だった。他方, 90年代の場合, 学校生活と関連して, 自転車通学や休日の遊戯, 後輩との人間関係などかなり細かな生活指導を教員側が手間や時間を惜しまずに行っていた。この十年間とその後にどのような変化があったのかを解明するのが今後の課題である。また, その準備作業として, 今年度は体罰に関連して教員が受けた懲戒処分の公式統計を時系列順に並べて検討した。1980年から2008年まで地域ごとの特徴はあるものの, 80年代には体罰が教員懲戒にまで至ることは皆無に近いことが多かった。平成に入る頃から教育委員会が過度の体罰の統制に乗り出したようである。その理由は複雑であるが, 生徒側の権利意識の高まりや事件事故の発生が変化の一部を説明するものの, 体罰行為自体が消滅していないので, さらに多様な観点からの検討が必要となった。