学部・附属学校共同研究紀要 38 号
2010-03-31 発行

新学習指導要領を踏まえた技術科における『ものづくり教育』のためのカリキュラムの開発とその実践

Designing Robots as an Humanitarian Project : Implications for Implementing the Course of Study Revised by the MEXT in 2008
林 祐太
全文
1.5 MB
AnnEducRes_38_185.pdf
Abstract
設計による問題解決を重視したロボット設計製作題材の有効性に対する認識が定着しつつある。中でも介護や災害時の人命救助を扱う題材は, 技術だけでなく人への優しさなどそのあり方まで考えさせる点で優れている。

一方学習指導要領改訂による必修領域増加の対応策としてロボット題材の検討が求められている。しかし, 1)問題解決の手段としての設計が必要, 2)時間割内で完成させ達成感を得させる必要, 3)創造的設計に挑戦した場合, 完成直前に修正不能であることが判明する場合もあり, 初期段階で実現可能性に気づかせる支援が必要, 4)思いつきの段階から実装動作までの過程で直面する様々な問題について, 力を合わせて解決を図る支援が必要, など多くの課題が存在する。

試行実践により次のような結果を得た。a)構想図に名称や説明の記入により, 言語による共同作業が円滑化した。b)3次元位置の制約が強く, その決定や修正支援が必要。c)作品解体やリサイクルを通した学習も可能。e)ルール等による課題難易度の分布調整が学習に影響する。f)救出対象の荷重値と電流計測により効率の考察も可能。g)教師の問いかけにより生徒の問題解決が促進した, このような事例蓄積と共有化が必要。