学部・附属学校共同研究紀要 38 号
2010-03-31 発行

大学附属農場を活用した幼児に対する家畜との関わりを通した食農教育に関する研究 : 「CoP-AAE:動物介在教育のための実践コミュニティ」構築の試み

Agri-food education for children on dairy cows at university farm
木場 有紀
森元 真理
吉原 智惠美
井上 由子
東 加奈子
坪田 志保
山中 覚美
宮谷 智子
全文
1.44 MB
AnnEducRes_38_93.pdf
Abstract
「動物介在教育実践コミュニティ」を構築し, 「子どもに対する4つの動物介在教育の実践」に関する予備研究を行った。4つの動物介在教育とは, 「生き物を介した自然環境教育」「動物の訪問による命の教育」「動物飼育・世話体験を通した共感教育」「家畜を介した食農教育」を指す。本報告では特に「家畜を介した食農教育」について詳述した。広島大学附属農場において, 乳牛と牛乳の繋がりを学ばせるために「親子食農教室」を実践した。事前に行ったテストから, 参加者は乳牛に対して牧歌的なイメージを抱いており食料を効率的に生産する家畜としての認識に乏しかった。また, 多くの参加者が分娩と泌乳との関係を理解していなかった。実際に乳牛を見たことによって, 牛の存在の大きさを実感し親しみを持った参加者が多かった。また, 全員が次回も参加したいと回答した。以上の結果から, 本プログラムは参加者の関心が高く一定の教育的効果が認められた。今後の課題として費用対効果, スタッフの教育の必要性などが挙げられた。本研究を通して動物を介在した教育プログラムの基礎案が完成し, 来年度の本格的な実施への足がかりを築くことが可能となった。