本研究は、日本人英語学習者のライティングにおける「認識的立場(ある命題・状況の確実性に関する書き手の査定判断)」を表す語彙・文法形式の使用の特徴を考察しようとするものである。中級レベルの学習者が与えられた条件の下で書いた、描写的エッセイ(descriptive essays)67個と散文的エッセイ(discursive essays)41個をデータとして、これら2種類の作文に見られる「認識的立場」に関わる表現を比較した。さらに、散文的エッセイについてはLOCNESS(Louvain Corpus of Native English Essays)を用いて英語母語話者によるこれらの表現の使用と比較した。分析の結果から、日本人学習者は両タイプのエッセイにおいて様々な「認識的立場」に関わる表現を使っていることが分かったが、一方'I think'を多用し'seem' 'must'などの表現は限られた方法でしか使わないことが明らかになった。このことは、第二言語学習者にとって「認識的立場」に関わる表現は習得がより困難な領域である、という先行研究を支持する結果となった。