近年、英語教育においてESP(特定の目的のための英語)の持つ役割への関心が高まってきている。日本においても、学術的な目的だけでなく、専門分野において、将来的に必要となってくる英語を、大学院レベルで教授していくべきであるとの見解が、EFL(外国語としての英語)教育に携わる教員間で強まっている。この中で、特定の目的のための言語を広範囲に教授するためには、その目的にかなった単語の選定を行い、学習者に提供していく必要がある。
そのため、本研究では、専門分野のコーパスを利用したワードリストを作成することにより、頻度と分布範囲に基づき、601のワードファミリーからなるリスト(PWL)を作成した。この比較的小規模な簡易ワードリストは、コーパス全体の13%をカバーし、略語等を含めると17%のカバー率となる。最頻出2000語、アカデミックワードリスト、及びPWLの総カバー率(84.1~87.6%)は十分な読解のために必要とされる95%レベルよりも低いカバー率ではあるが、特定の目的を持つ学習者にとって、専門分野のワードリストがいかに有効であるかを明確に示している。
最後に、ワードリスト中の単語自体が学習の難易度に影響を及ぼす可能性があり、教授の際に重要となってくるいくつかの要因について、更なる調査の必要性を指摘した。