本稿では,ことばの学びに困難を感じる児童を対象に取り出し指導を行っている公立小学校において定期的に参与観察を行い,学習者のことばの学びを観察することを通して,その際に学習者の抱えることばの学びの躓きについて考察し問題提起を行うとともに,今後の展望として,文型を用いた指導を提案する。
複数の学校で参与観察を行った結果,外国人児童を対象とした取り出し授業においては年少者用日本語教材も併用されているものの,いずれの学校でも使用されている主なことばの教科書は当該学校で使用されている国語科の教科書であった。しかし国語科の教科書は,日本語を母語とする日本人児童のために編集されているという特色があるため,外国人児童の言語教育にとって適切な教科書であるとは限らない。この間隙を埋めるために,本稿では文型を用いた指導を提案する。