初等教育カリキュラム研究 1 号
2013-03-31 発行

小学校高学年用雑誌『銀の鈴』にみられる理科的内容に関する一考察 <論文>

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Abstract
1946(昭和21)年,原爆によって廃墟と化した広島において,子ども向け雑誌『銀の鈴』が広島図書より発行された。1950(昭和25)年発行の高学年用『銀の鈴・4年生』と『銀の鈴・5年生』の「りかのかんさつ・やっかいな虫」「理科図鑑一害虫をふせぐには」「りかのかんさつ・夏の星座」「夏の星座(図版)」「理科と実験・たべものと私たちのからだ」について分析したところ,これらの内容は文部省著作教科書『小学生の科学』(1949)や検定教科書『よいこのかがく』(1951)と関連づけられていることが分かった。中には,両者の教科書で指定されている学年を繰り上げて,『銀の鈴』の内容が取り上げられていたり,教科書にはない簡易実験が取り上げられている。戦後の児童用教育出版物の乏しい時代にあって,雑誌『銀の鈴』は発行期間がわずか8年間ではあったが,科学読み物として子どもを自然の世界へと誘う役割を果たしていたと考えられる。
著者キーワード
銀の鈴
広島図書
松井富一
小学生の科学
よいこのかがく