広島大学マネジメント研究 Issue 2
published_at 2002-03-20

個人破産における債務者の更生 : 金利規制と倒産制度 <平成13年度(2002年3月)修士論文要旨>

阪田 正大
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KJ00000053553.pdf
Abstract
近年, 自然人, すなわちいわゆる一般個人の自己破産申立件数が増加していおり, 大きな社会問題となっている。この自己破産件数の増加の理由には, 「多重債務」によって支払不能に陥った債務者の数が増加したことがあげられる。多重債務とは, 貸金業等からの金銭の借入れやクレジット利用により発生した債務が本人の返済能力を超え, そして債務の返済のためにさらに借金をして債務が重なることをいう。この多重債務の理由には, 遊興費のための借金, クレジットカードの利用による自己の返済能力を超えた商品の購入がある一方, 生活費のための借金や悪質商法により商品, サービスを契約させられたため等の様々なものがある。そして, 「消費者信用」は年々その市場規模を拡大させており, 多重債務者の増加の一因となっている。この消費者信用とは, 「消費者に供与された信用」のことであり, 大きく販売信用と消費者金融に分けることができる。またその一方で, 消費者信用は今や消費生活に不可欠なサービスになっているともいわれる。まず, 多重債務の原因となる消費者金融の高金利について検討する。わが国においては, 年29.2%以上の金利は利息制限法第1条により無効であり, さらに出資法第5条にも違反して処罰の対象となる。しかし, 出資法による罰則金利以下で利息制限法の上限金利を超過する利息について, 債務者は支払いの義務を負わないけれども債務者が任意に支払った場合には, 貸金業規制法第43条により有効な弁済とみなされ, 支払った利息の返還を求めることができない「グレーゾーン」といわれる曖昧な利息部分が存在している。次に, わが国の倒産法制において個人債務者が利用可能
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広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻平成13年度(2002年3月)修士論文要旨