20世紀の産業の発展は我々に物質的な豊かさをもたらすと同時に, 自然環境を破壊してきた。持続可能な21世紀を築くためには, これまでの一方通行的な社会から, 資源循環型で環境負荷の少ない社会へ向け, 経済システムを大胆に変換しなければならない。本研究は, 競争優位の視点から, 企業の環境対応レベルの定義とそれに基づく自動車メーカー各社の取組み状況の分析を通して, 21世紀を活き抜くために自動車メーカーの採るべき環境戦略について考察することを目的としている。企業を取り巻く外的環境は大きく変化してきている。企業にとって無視できない外的要因として, 法規制と市場による選別が挙げられる。近年, 自動車リサイクル法のように, 企業に拡大製造者責任を負わせることで, 汚染された環境の修復費用を製造元である企業自身に負担させようという「外部不経済の内部化」を推進する動きが強まってきている。この流れの中で競争優位に立つ為には, 企業はreactiveに環境対応するのではなく, 自ら戦略を立ててproactiveに活動することが重要になってきた。イノベーションを起こして「資源生産性を向上」させ「環境対応と経済性の同期化」を図ることで, 競合他社に対して優位に立たなければならない。企業の環境への対応レベルを, 3つのステップに分ける。まず第1ステップは「規制対応型」で, 法規制への対応のように, それをクリアしなければ企業活動する資格が与えられないので, やむを得ず行う対応である。第2のステップは「競合対応型」で, 市場の求める基準をクリアし, 競合他社に取り残され自然淘汰されてしまわない為の対応である。第3のステップは「市場創造型」で, 積極的に業界