特別支援学校(聴覚障害)に在籍する児童を対象として,動詞の理解度と使用傾向を検討した。8つの意味カテゴリー(生活動作,認識・思考,感覚・感情,自然現象,対人関係,意図的操作,移動,変化・状態)から小学校低学年までに学習する動詞を選定し,課題語として用いた。課題内容は,文意にあう動詞を4つの選択肢から選択するというものであった。課題内容は対象児にとって難易度が高かったと推察され,また結果的に意味カテゴリーごとの得点の間に明確な差はみられなかった。回答傾向の分析からは, 1)文脈に限定される動詞が用いられにくいこと, 2)手話表現に依存した動詞使用, 3)名詞と動詞の問の共起関係に対する独自の解釈, 5)助詞を無視した動詞使用といった特徴がうかがえた。今後は,動詞の親密度に関する調査の必要性,ならびに読書力やコミュニケーション手段といった要因を考慮した多面的な研究の必要性が考えられた。