広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 9 号
2011-03 発行

盲児用歩行指導プログラムの作成 <原著>

The Orientation and Mobility Instruction Program for Blind Children <Original Articles>
全文
474 KB
CSNERP_9_1.pdf
Abstract
本研究は,「盲児用歩行指導プログラム」作成の基礎資料とするため,歩行指導担当教師が最も参考にしている指導書として挙げた文部省発行「歩行指導の手引」(1985)から,ここに掲載された指導項目と具体的な指導内容を明らかにすることを目的に実施した。その結果,指導項目数は137であり,463の指導例が示されていた。章別では,就学前から小学部段階の盲児を対象とした,第4章「環境の認知」には151例,第5章「地理的空間概念」には78例,主に幼児期の指導について述べた第3章「基本的な歩行運動」には64例があり,盲幼児と盲児の指導について述べたこの3つの章で293例(63.3%)を占めていた。一方で全国の視覚特別支援学校(盲学校)が抱える歩行指導の課題として,歩行指導の一連の流れである空間概念形成などの白杖前指導から成長にあわせた白杖の振り方などの白杖導入期にかけての具体的な指導書が欲しいことが挙げられた。このことは,本書に指導事例が掲載されているものの,担当教師は直ちに授業に活かせるさらに具体的内容を求めていることを示すものである。これらを網羅した歩行指導プログラムの整備が必要である。
著者キーワード
盲児
自立活動
歩行指導プログラム