現在開発中の表情学習プログラムの試作版を,19歳から45歳の自閉性障害者30名に対して試行した。その結果,今後の改良点に関する次のような示唆が得られた。1)モデルと表情の種類を増やしたり,動画像の写実性を高めたりするために,新たな画像を作成する必要がある。2)対象者の個人差に対応できるように,反応ボタンや,問題やレベルの区切りで出てくる選択肢などに,文字,絵などのバリエーションを用意する。3)進度を表示するインジゲーターを,より分かりやすいものに変更する。4)ヒントで用いている顔画像の妥当性について検討する。5)学習経過の記録を,支援者が理解しやすい表示形式にしたり,印刷可能なものにしたりする。また,6)表情ごとの累積エラー数を判断して,より強いヒント提示に随時変更するなど,学習プログラムを個々の対象者に対応させていくような機能の実装についても,今後検討していく必要があると考えられた。