本稿では,筆者が同僚の岩崎克己氏および前田啓朗氏とともに作成中の新しい包括的なインターネットサイトについて解説する。科学研究費補助金の支援を受けて作られるこのサイトの特徴は誰でもどこからでもWWW経由でアクセスできる数千の実際的なTOEICやTOEFLの問題を提供する点である。このサイトを通じ,学習者は,今日の英語教育の分野でもっとも重要な2つの試験の準備を無料で行うことができる。このサイトの独自性は日本人の学生の英語能力の長所と短所を考慮する点である。本稿の前半ではTOEICやTOEFLテストについて触れるとともに,このインターネットサイトがどのように作られるかについて説明する。後半では日本人学生の英語能力を評価するために,彼らに対して行われた一連の模擬試験について説明する。この模擬試験により,次のことが明らかになった。1)英語能力に関しては,ほとんどの大学生がto initial, to grin from ear to ear, price dropped, in the long run 等の表現をうまく使いこなせない,2)リスニングにおいては,話し手が間接的な形で「No」と言っている際に,学生はそれを理解するのに苦労する,3)リーディングの分野では,言い換えの問題が難しい。この模擬試験の結果は近い将来における質の高いTOEICやTOEFLの問題の作成に利用される。