本稿は,ドイツ語および日本語学習者を対象に,フェイスブック上でのそれぞれの学習言語の使用と能力向上に関するアンケート調査(2018年5月実施)の結果を考察するものである。アンケートにはウェブアンケートアプリLimesurveyを使用し,以下の5 点を明らかにすることを目的としている。
(1)学習言語習得のためにどのようにフェイスブックを使用しているか
(2)ドイツ語および日本語の母語話者でフェイスブックの使用に差があるか
(3)回答者は学習言語習得への影響をどのように評価するか
(4)外国語を学ぶ際,SNS を使用することの魅力はどのようなものか
(5)問題点はどのようなものか
アンケート結果が示すように,ドイツ人と日本人の双方が感じるフェイスブック使用の魅力は,以下の4点である。距離を越えて母語話者とコミュニケーションがとれること,母語話者と繋がれることあるいは関係を維持出来ること,学習言語や文化に触れることが出来ること,学習言語で投稿することが出来ることである。使用に関する問題点では,どちらのグループにおいても,話し言葉を理解することや,正しい文法が使えているかということ,長い投稿を理解することの難しさといった言語に関することが中心である。全体で見ると,回答者が感じている学習言語習得へのフェイスブックの影響は,日本語学習者のほうがドイツ語学習者よりも高い。しかし,どちらの学習者も,同様の言語技能(とりわけ読解)にフェイスブックが良い影響を与えていると感じていると分かった。