国語教育研究 41 号
1998-03-31 発行

新しい敬語の補助動詞「~テミエル」が保守的な共通語と抗争する方言戦略 <長谷川滋成先生還暦記念特集>

江端 義夫
全文
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KokugoKyoikuKenkyu_41_1.pdf
Abstract
今まで日本語方言の研究において、「~テミエル」の実体についての論考は見られない。敬語の動詞としては「見える」が全国で用いられ「行く」「来る」「居る」にかわる語形となっているが、それの補助動詞化した「~テミエル」が、どうして、愛知県と岐阜県にのみ分布しているだけなのかを考察した。臨地調査資料と通信調査資料とによって方言分布図を作成し、地理言語学的分析を行った。その結果、「~テミエル」が中部地方で早くに成立したが、保守的な東京方言の「~テイラッシャル」の威力におさえられ、勢力の拡大が十分には進んでいない現状が明らかになった。
著者キーワード
敬語
補助動詞
「~テミエル」
方言分布
地理言語学
言語地理学