著者らはこれまでの実験で,グリセリンの最終濃度が7%になるよう調整した卵黄ブドウ糖希釈液を用いて鶏精液を4倍に希釈して凍結保存を実施してきたが,その受精率は50~60%の水準にとどまった。今回この従来の希釈液を対照区とし,新たにnon‐yolk5.7%ブドウ糖液を試験区としてそれぞれ4倍希釈で凍結保存を実施し,融解後の精子活力,奇形率および受精率について比較検討した結果,融解後の精子活力については両区間に明らかな有意差が認められた(P>0.01)が奇形率においては有意差は認あられなかった(P<0.05)。試験区の1週目受精率は平均74.0%,2週目受精率は平均55.9%で対照区の1週目平均受精率52.9%,2週目平均受精率32.8%に比らべかなり良好な結果を示した。
以上の結果,鶏精子の凍結保存においてもnon‐yolkブドウ糖液は好結果を与えるもののようである。