1970年に御幸牧場で集団発生した低酸度二等乳はアルコール試験陽性でまた熱凝固性を示し,これは'the Utrecht abnormality of milk'と同じ特微を示した。そしてまたその異常乳はCaが高くMgが低いこととイオン状Caが高い値を示した。
御幸牧場の乳牛の血清Caが高く血清Mgが低いことと全血Caが高いと云う特微がみられた。尚,全血Mgには差がみられなかった。
表 御幸牧場の乳牛群と対称牛群の血中のMg及びCaについて (単位meq/l)
御幸牧場の乳牛群の平均値: 頭数 17, 全血中のCa 3.82, 全血中のMg 1.82, 血清中のCa 4.49, 血清中のMg 1.82
対象群の平均値: 頭数 54, 全血中のCa 3.34, 全血中のMg 1.85, 血清中のCa 4.24, 血清中のMg 2.00
以上の結果から,御幸牧場の乳牛群の血清Caが高い。血清Mgが低いと云う特微とが密接に関係していると考えられる。乳牛の血清Mgが低くく血清Caが高いと云う特微はその乳牛群がMgの代謝異常かMg欠乏をともなった慢性的な泌乳障害におち入っているにちがいないと推定される。