本稿では,「主体的な読み」に関する先行実践/研究の遺産を継承するため,その到達点と課題を明らかにしている。その際,「主体性」の確立,態度的学力の育成の観点から分析している。その結果,「主体的な読み」に関する先行実践/研究では,読中過程だけでなく,読前過程,読後過程を含めて学習過程と捉えていること,読中過程において1つの枠組みに閉じ込められないよう,読前過程,読後過程において学習者の「主体性」を確立させることが必要であることがわかった。このことをふまえ,先行実践/研究を手がかりに,読前過程において学習者の日常生活と関わる課題について議論させ,読中過程における多読を行う学習過程を設定し,読後過程では,再度先の課題について議論させる授業提案を行っている。