本研究はインクルーシブ教育の観点から通常学級で家庭科授業を実践する(これを以下,「インクルーシブ家庭科」という)教員の実践的指導力向上を図る研修の在り方を探究することを目的とする。方法としては,現職家庭科担当教員を対象に家庭科授業での困難状況や研修会への参加希望等を問う質問紙調査を実施した。その結果,「インクルーシブ家庭科」における教員の困難状況および知りたい支援方法などが明らかになった。これらの結果を踏まえ,「インクルーシブ家庭科」における実践的指導力向上のための現職教員研修を開催するに際しては,次の3点が必要であると考える。1つ目は家庭科担当教員のインクルーシブ、教育への関心を喚起する方法の検討,2つ目は核となる教員による「インクルーシブ家庭科」の教材や指導方法の開発およびその般化方法の検討,3つ目は研修参加を促す支援体制づくりであった。