広島大学マネジメント研究 5 号
2005-03-19 発行

生命保険会社の負債の構造 <論説>

Liability Structure of Life Insurance Companies
原 美香
全文
1.6 MB
KJ00004290874.pdf
Abstract
本稿では,生命保険会社の相次ぐ破綻から生命保険事業における経営課題とその改善策を生命保険会社特有の負債の構造を分析することにより検討している。長期の保険契約を保有する生命保険会社にとって,契約者保護や支払能力の確保は経営課題として重要である。生命保険会社の負債科目である責任準備金は,保険業法上,将来の保険給付に対する積立であり,一般企業の負債項目とは異なり,総資産の約90%を占めており,財務諸表における金額的重要度が高く,その適性を確保するために様々な規制が課されている。しかも,責任準備金は将来の保険契約履行という不確定要素に対する引当金的な要素が強く,会計上では見積額である。会計上の見積額である不確定な要因が,剰余金等に影響を与え,極論すれば生命保険会社の破綻を誘導する要因の一つになり得る。このような責任準備金の重要性と特殊性を鑑みつつ生命保険会社の問題点を論じる。
著者キーワード
ディスクロージャー
財務諸表
負債
引当金
責任準備金
積立方式