本研究の目的は,子どもの不安傾向について発達的に検討することであった.小学4年生から中学3年生1176名(男605名,女子571名)を対象に,田研式不安傾向診断検査を用いて調査を行った.その結果,学年間の比較では,全体的な傾向として,小4から小6にかけて低下し,中1と中2で上昇し,中3にかけて再び低下した.男女間の比較では,学習不安傾向,対人不安傾向,過敏傾向,身体的徴候,恐怖傾向,衝動傾向において女子が男子よりも有意に高く,特に恐怖傾向では顕著な性差が見られた.不安反応(過敏傾向,身体的徴候,恐怖傾向,衝動傾向)に対する不安対象(学習不安傾向,対人不安傾向,孤独傾向,自罰傾向)の影響について検討したところ,対人不安傾向と孤独傾向は4つの不安反応に対して大きく影響し,その影響の仕方には学年と性別による違いが見られた.