本稿では,ドイツ語を学習する日本人学生のコミュニカティプ・ライティング技能の向上を目指した研究構想の目的とそのための方法論的なアプローチを提案する。ドイツ語のライティングにおいて,文体や慣用語法を習得することは,書き手と読み手の人間関係を扱う際非常に重要である。このことは,特に異なる発話行為の実現において現れる。E-Mailといったテクストにおける「依頼」,「謝罪」,「断り」,「批判」がそれに該当する。これら4つの発話行為の実現において,ドイツ語と日本語問の相違を見出すことは,本研究計画の一部であり,その目的は,日本人のドイツ語学習者が異なる文体への意識を高め,ドイツ語においてより高皮な古きことばの能力を身につけることにある。第1言語としてのドイツ語と日本語のライティングスタイルの比較は,第2言語のライティングによる言語行為遂行の際に第1言語の干渉によって引き起こされる誤りについての調査研究とともに,本稿において概説される経験的な研究プロジェクトの一部をなす。