中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 47 巻
2007-03-20 発行

遺伝子の転写と翻訳の科学的概念形成を図る生物教材の開発と授業実践 : 無細胞蛋白質合成システムとルシフェラーゼを用いて <第2部 教科研究>

畦 浩二
福田 康朗
全文
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Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_47_153.pdf
Abstract
分子生物学におけるセントラルドグマ(遺伝子の転写と翻訳)を科学的に理解するための生物教材を開発し,授業実践を通してその有効性を検証した。新たに開発された無細胞蛋白質合成システムを用いた分子生物学的実験は,危険な薬品を含まず,実験に際して高価な機器や遺伝子組換えの申請をする必要もない。このシステムを使うことで細胞内でおこる遺伝子発現を試験管内で再現することが可能となる。試験管内で酵素ルシフェラーゼを合成させ,ホタルの発光現象を再現した実験では,生徒は興味・関心をもって実験に臨むと同時に,得られた結果をもとに遺伝子の転写と翻訳の上下関係を帰納的に考察することができた。このシステムを使った分子生物学的実験は生徒の科学的思考力を高めるうえで,大変効果的であると考えられる。