中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 47 巻
2007-03-20 発行

広島大学理学部中高生科学シンポジウムに向けての取り組みにおけるリテラシーの育成について <第2部 教科研究>

全文
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Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_47_129.pdf
Abstract
当校は2003年度から2005年度にかけて文部科学省から研究開発校の指定を受け,『中学校・高等学校を通して科学的思考力の育成を図る教育課程の研究開発』という研究課題のもと,すべての教科において実践する科学教育「サイエンスプログラム」のカリキュラム・指導方法・評価方法の開発,研究実践を行ってきた。さらに今年度からは『中等教育における科学を支える「リテラシー」の育成を核とする教育課程の開発』という研究課題のもとに,これまで開発してきた「サイエンスプログラム」を基本的には継続しながら,質の高い科学教育を構築するため新たな視点「科学を支えるリテラシーの育成」をもとに再構築することと,これまでのプログラムと今後のプログラムの評価を継続して行い,この際に科学的な思考力を総合的に評価する手法を開発していくことを研究の目標として研究開発を行うこととなった。ここにあるリテラシーとは,生きていくための素養としてのリテラシーであり,より広い分野・事象に対応できるための科学のもとにあるリテラシー(素養または知識を基礎とした活用能力)のことである。

一方,広島大学理学部では毎年11月初旬に「理学部・理学研究科公開」の一環として,次世代を担う中高生に「理学」への関心をさらに深めてもらう機会として,「中学生・高校生による科学シンポジウム」が企画されてきた。ここでは毎年多くの学校から中学生・高校生の自然科学(数学を含む)に関する取り組みや研究活動の成果が発表されており,今年度で9回目を迎える。当校も第3回から毎年このシンポジウムに参加し研究発表を行ってきた。

このシンポジウムの取り組みの指導をしていく過程で上記の"科学を支えるリテラシーの育成"が様々な形で行われてきているように思われる。そこでここ近年のシンポジウムにむけての取り組みの中で実際にそれがどのような形で行われてきたかを今までの取り組みを検証し整理することで,これからの研究開発への一助にしていきたい。