今日の家庭における食生活の状況は、家族形態の変化、家事労働の社会化によって家庭の機能が縮小し、大きく様変わりしてきている。その中に、昔ながらの伝統的なこと、家庭の味、生活の知恵などの伝授の機会が少なくなっている点がある。
知恵には、昔ながらの知恵、生活の実状に合わせ新たに生み出された知恵や工夫がある。こうした「知恵」「工夫」の多くは、後に科学的に理にかなっていることが証され、継承するに大いに値する。
本研究では、高齢者・保護者に伝統文化の伝授に関わる調査を行うと共に、学習者たちには、先人の生み出した保存方法(燻し法)の体験学習を実践させ、その感想や伝統食に対する考えを調査する。これらの調査結果から、学習者の食文化の継承への姿勢と共に、伝統文化の伝承を支援する環境(要因)の一端について述べる。