中学校社会科地理的分野においては,生徒による主体的な学習としての探求学習能力の育成がその学習目的として重視されている。本稿では,それをすすめるための具体的な指導方法としての教師による探求を授業の形で例示する指導法を提案する。その例として「日本と世界の結び付き」の学習をとりあげ,「東南アジアと日本-エビを通して考える-」の学習指導案を教授書の形で提示する。この学習は,東南アジアと日本の結び付きをエビを通して理解し,その問題状況の把握とその解決について考えさせるというものである。これは学習指導要領の「国際社会に生きる日本人としての資質を育てる」ことに結びつき,「学習内容の厳選」の趣旨にも沿うものである。さらに今日,地理教育にとっても重要な意味をもつ「持続可能な開発」の視点からの地理学習でもある。