中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 45 巻
2005-03-22 発行

「司法制度改革」教材化の試み : 中学校社会科における「裁判員制度」の授業事例を中心に <第2部 教科研究>

樋口 雅夫
全文
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Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_45_213.pdf
Abstract
2004年5月,司法制度改革の一環として「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し,2009年までに裁判員制度が実施されることが決定した。本稿では,「なぜ今,国民の司法参加が求められているのか」との問いに対する探求活動の中で,現在の司法制度における諸課題を明らかにし,その諸課題を解決するために裁判員制度が導入されることになったことを理解させることを目的に学習指導案を開発した。その際,単に裁判員制度を所与のものとして受容するだけでなく,本制度を運用し,課題があれば制度自体を修正していくのが主権者としての役割であることを意識化させる。理解を学習原理としつつも,現代社会において,常に発生し続ける新たな問題状況の本質を探求し続けられる市民の育成を目指し,従来型司法制度学習からの脱却を試みた。