もみ殻を飼料化する目的で,種々の化学的な処理を施した際のもみ殻の化学組成の変化および走査電顕(SEM)下の組織学的変化とIn vitroの消化率との関連を検討した。
1. ARHは生もみ殻に較べてセンイ成分の比率が低下し,熱水可溶区分も3倍近く上る。IVDMDが3倍に上るが,これはシリカの山,そして谷部もかなり破壌されて,可消化のセンイ部分が露出したためと考えられる。リグニンは残存しているが変質していると思われる。
2. NaOHで処理すると山部のシリカ層が完全に除かれてセンイ組織が露出し,IVDMDも5倍に上る。リグニンは残存しているが変質していると思われる。
3. NaOHで処理後,更にKMnO4で処理したものでは,更に山が大きく破壌され,穴も大きくなり,谷部にあるリグニンも除去されて,IVDMDは更に7倍に上る。
4. NaClO2で処理すると,谷部のリグニンが失われ,シリカが残存しているのに,IVDMDが7倍に上る。
以上の事から,もみ殻の消化の悪い原因の一つは確かにリグニンであるが,もみ殻の堅固な構造も大きな原因となっていることが明らかになった。