グリセリンの最終濃度7%の5%ブドウ糖・卵黄液で4倍に希釈した鶏精液を急速凍結法によって液体窒素中に9年間保存し,融解後の精子の活力,奇形率を調べ受精試験を行なった結果は次の如くである。
1. 9年間凍結保存した鶏精子の融解後の平均活力は75%(++以上)で,これまでの3か月,2年および5年間凍結保存した精子の活力にくらべやや低下を示した。
2. 9年間凍結保存した鶏精子の平均奇形率は8.3%で,3か月,2年,5年間凍結保存した精子のそれにくらべむしろ低く,凍結保存期間が長くなるにつれ奇形率が増加する傾向は認められなかった。
3. 1週目受精率は46.8%,2週目受精率は14.3%で,1週目受精率は3か月,2年,5年間凍結保存精子のそれにくらべ幾分低下したが,2週目受精率は3か月凍結保存精子による受精率より高かったが,2年,5年間凍結保存精子による受精率にくらべるとさらに低下した。