各種のクッキング装置を,設計,制御化をしていくためにクッキング速度式の設定が必要である。前報において,米1~5),その他6~10)に対し,クッキング速度式に関する研究を行なってきた。
本報では,前報のスパゲティとひやむぎ10)に引続き,うどん,そーめん,そばおよび中華そばのクッキング速度式に関する研究を行なった。これらのめん類のクッキング速度を,クッキング温度70~99.5℃において,重量測定法により求めることができた。クッキング速度式は,2種の形で表わされた。一つの形は,n次の経験的速度式,もう一つの形は,殻状吸水モデルに基づいた半理論的速度式である。前者の速度式に対する活性化エネルギーの値は,うどん,そーめん,そばおよび中華そばに対し,それぞれ約13,8,11および10kcal/g-molとなった。これらの値は,前報において,スパゲティとひやむぎに対し得られた値9と11kcal/g-molによく似た値である。以上の結果より,めん類のクッキング速度は,おそらく水の拡散速度に律速され,デンプン成分と水の化学的反応速度が無視できるのではないかと推察される。