食肉蛋白質と大豆蛋白質の相互作用を知るため,鶏肉蛋白質,大豆蛋白質および両者の混合物の熱変性を,SDSポリアクリルアマイドゲル電気泳動法により検討した。
その結果は次のとおりである。
1. 鶏肉試料の水溶性区分の電気泳動図において,生の場合は7本の明瞭なバンドが認められたが,これらのバンドは70℃までの加熱で消失した。この試料の塩溶性区分に関しては,生の場合は9~10本のバンドが認められ,典型的な筋原線維の蛋白質パターンを示したが,100℃までの加熱で,それらのバンドは1~2本に減少した。
2. 大豆蛋白質の水溶性区分の電気泳動図において,加熱前は4本の主バンドが認められたが,70℃加熱により,移動度の遅い2本のバンドが薄くなり,100℃加熱により,移動の最も速いバンドがいちじるしく薄くなった。この試料の塩溶性区分の電気泳動図は,加熱処理において,水溶性区分と同様のパターンであった。
3. 鶏肉蛋白質および大豆蛋白質を加熱したとき,水溶性および塩溶性区分から消失した変性蛋白質成分は,当然ながら不溶性区分に見い出された。
4. 鶏肉蛋白質と大豆蛋白質とを混合して加熱したときの電気泳動図と,この2つの蛋白試料を別々に加熱したときの電気泳動図とを比較したが,2つの加熱方法におけるこれらの試料中の蛋白質の変化について,大きな違いを見い出せなかった。