CSR(Corporate Social Responsibility : 企業の社会的責任)活動は, 近年さまざまな形で普及しているが, CSR活動の効果や, 企業がなぜCSR活動を行うかという理論的根拠についての統一された見解は出ていない。特に, 日本企業が行う地域貢献活動は, 企業の本業と関連が薄い場合も多く, 活動の必要性や, 活動のあるべき姿が, わかりにくいという懸念がある。
本稿では, CSRの定義, 史的変遷, 効果, 理論的根拠について, 先行研究を整理し, 企業がCSR活動を行う理論的根拠を3つの視点でまとめた。そして, その3つの視点から日本企業の地域貢献活動を考察することで, アカウンタビリティ確保と活動の継続性確保という2つの内在する課題を抽出できた。企業がなぜCSR活動を行うかという理論的根拠の統一は困難と考えられるが, この3つの視点から, 個別のCSR活動を評価することで, さまざまな課題を抽出できる可能性があり, 今後の研究を進めていく上でのフレームワークを構築できたと認識している。