絵画テキストは,画題(物語,説話,仏典など)を文字テキストとは異なる独自の方法で語っている。しかし,絵画テキストは中学校国語科の古典学習において,物語や説話などの文字テキストを読むための補足資料としてのみ用いられている。そこで,本稿では,『徒然草』第53段「是も仁和寺の法師」を画題として描いた,原本住吉如慶筆・飯塚円貞広美模写『徒然草絵巻』(金沢文庫所蔵)と英一蝶筆『御室法師図』(個人所蔵)の語り(=〈絵語り〉)を読み解く活動の実践を報告し,中学校国語科の古典学習における絵画テキストの活用を提案したい。