免疫力も皮膚の組織も未熟である新生児を対象とするNICUの感染対策は, CDCガイドラインなどを指標としながらも, 確立されたものは少なく, 試行錯誤の状態である. 当院NICUでは, 1)スタッフの手洗いの徹底, 2)全ケア時に未滅菌手袋の着用, 3)物品の各新生児専用化, 4)簡易ゾーニング, などを柱として, 病原性菌種の伝播経路の遮断を目標に, 感染対策を行っている. また両親からの正常菌叢の定着を目指し, ガウンを廃止, タッチングケアやカンガルーケアを行っている. MRSA対策としては, 手指衛生の管理が感染対策の要であることを確認し, 物品とベッドの位置を固定し, 医療従事者の動線の交差を最小限にした. その結果, 毎月の新規MRSA保菌者は4%前後で推移し, 減少傾向となった. これらを含め当院NICUでの感染対策の一部について紹介する.