新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit ; NICU)に収容される新生児は, 感染リスクが高く, 新生児感染症は生後2週間に起こる死亡原因の50%を占めている. 新生児医療の進歩は, より早産で重症な新生児を救命することを可能にしたがその反面NICUにおける感染対策は確立しているとはいい難い. そのため, 我が国のNICUにおける感染対策は, 施設ごとに独自の基準や手順で行われていることが多い.
NICUにおける感染対策の問題点は, 既存の対策の評価が不十分であること, 特殊部門特有のケア方法に対して他部門からの理解と協力が得られにくい点である. これらの問題を解決するために, NICUという部門の特徴とケアの特殊性や内容を熟知した感染管理看護師が, スタッフと良好なコミュニケーションをとり, 協働することは大変重要である. 当院では, Infection Control Team (ICT)とNICUの協働によって感染管理に関する多くの改善を行ってきた.
NICUにおける感染管理の今後の課題は, 既存の対策の評価と積極的な検証によるエビデンスの構築である. NICUの感染管理と患児ケアの質向上のために, 感染管理看護師は人的資源として活用されることが必要である.