水中毒は精神科のあらゆる障害において見られるが,原因としては未だ明らかになっていない.しかしながら水中毒は重篤な合併症を生じ,生命の危険性も高いことからも,早期に発見し,予防していくことが重要である.本研究では,バイオインピーダンス法を用いて精神障害者の体内水分量を知り,その貯留の程度をアセスメントする事で水中毒の予防に役立てないかと考え,精神分裂病患者と健康な一般女性,病的多飲水患者とそうでない患者のインピーダンス値を比較し,それぞれの間にどのような差が生じているのかを検証した.その結果,精神分裂病患者の細胞内水分量,細胞外水分量の両者とも,一般女性のそれより少なかった.また,病的多飲水患者は細胞外水分量が非多飲水患者に比べて多いが,細胞内水分量は細胞外水分量に比べて増加しておらず,水分量のバランスが悪いといえる.また,精神障害者においてしばしば肥満も問題となるが,今回インピーダンス法を用いて測定した結果,体脂肪率も高値を示していることが明らかになった.まとめ: 1) 精神障害者の体内水分量は健康な人に比べて有意に低い. 2)バイオインピーダンス法は精神障害者の水中毒予防の指標として応用可能である.