人工乳のミネラルに関する基礎的研究に必要な研究材料となる種々の金属-アミノ酸錯体を調製してきたが,今回は,銅(II)-グリシン錯体の調製を試みたのでその結果を報告した。
銅(II)-グリシン錯体についてはこれまでに,さまざまな視点から多くの研究が行なわれている。本報では,銅(II)-グリシン錯体標品を得るためにまず銅(II)-グリシン錯体の生成条件について検討し,中性からアルカリ性域にかけて生成する銅(II)-グリシン錯体は〔Cu(II)-Gly2〕の形で存在することを分光光学的に確かめた。この他,温度,反応時間, 銅(II)/グリシン比などについても検討し,それらの結果をもとに,錯体の調製法を決めた。そしてこの方法で得られた標品は,銅(II):グリシン=1:2の組成比をもつ銅(II)-グリシン錯体であることを確認した。