液状食品に関する各種装置の設計ならびに操作を行なっていくためには,流動方程式を設定し,それに含まれる各種粘性パラメータを算出していくことが必要である。本研究は,加熱処理したデンプン水溶液の流動特性を,毛管形粘度計を作製して30,50および70℃において求め,流動方程式における各種粘性パラメータ算出に関する研究を行なったものである。加熱処理した3および5wt%の小麦,トウモロコシ,ジャガイモおよびサツマイモデンプン水溶液を試料とした。
流動方程式γ=(1/K)(gcτ-gcτy)nに含まれる粘性パラメータn, τyおよびKを,非線形最小二乗法を使用して算出する電子計算機プログラムを作成した。
加熱処理した3および5wt%の各種デンプン水溶液について,n, τyおよびKの値を計算した結果,n=1.2~1.4, τy≒0となり,擬塑性流体として取り扱えることが分った。n=1.3, τy=0と固定して求めたKの値は,温度の上昇ならびに濃度の減少で小さく変わり,K=Aexp(E/RgT)として表わすことができた。試料とした各種デンプン水溶液に対して,E=3~7kcal/g‐molとなる結果が得られた。
本研究成果は,流動特性が複雑な食品などの流動方程式を実験データよりシミュレーションによって得る場合に有用である。