本稿は,我々が開発を進めている労働価値観測定尺度の因子的妥当性について,構造方程式モデリングによる検討を行ったものである。4つの研究において720名の被調査者を対象に労働価値観についての調査を行い,636名のデータを分析に用いた。これまでに行ってきた理論的検討と探索的因子分析,二次因子分析の結果に基づき,5つのモデルについて検討した。検証的因子分析を行った結果,7因子間に相関関係を想定したモデルが最も高い適合度を示し,高次因子を想定したモデルはほぼ同等の適合度であったが不適解が生じた。不通解の原因について検討したところ,年代による違いから生じる標本変動がその一因と考えられた。したがって,高次因子を想定したモデルの妥当性について検討を続ける。