本研究は,中小製造業を対象とした企業成長論の展開のための準備的作業に充てられたものである。具体的には,企業成長という基本的な概念を確認するとともに,少数サンプルによる実証的検証により,有効な成長指標の抽出を目的として行われた。同時に,中小製造業における成長要因の枠組を体系的に提示し,幾つかの成長要因と成長性との関連性について検討を行なう。この実証研究のために,中小製造業200社の経営者に対し日計式調査票を郵送し,それらのデータを基にクラスタ解析や相関分析などの統計解析を行い,統計的に有意な幾つかの傾向を導出することができた。本研究において提唱された手法により,中小製造業の成長を測る有意性のある6指標を抽出することができ,これらを基準にした高成長企業群と低成長企業群の分類及び比較を実施し,社長や経営陣の特長など幾つかの興味ある傾向が導出された。