地方公共サービスの費用負担問題について,利用者負担の方法としての料金方式と募金方式を比較検討し,募金方式の可能性をさぐる。とくに域外者による費用負担の実現という観点から同方式の有効性について検討を行う。募金方式はフリーライダーを内在するシステムである。域外者がフリーライダーを指向して負担を少なくしようと行動するならば,域外者を含む利用者負担の方法として有効ではない。呉ポートピアパークにおいて実施されたイルミナーレ募金の事例では,このフリーライド仮説は成立しないとみられる。総収入の点でも募金方式は料金方式を大きく下回るものではない。むしろ需要を減少させないという性質から募金方式の有効性が示される。さらに同方式の有効性を高めるために,募金の「趣旨に賛同する」利用者を拡大するための情報提供の重要性を指摘する。