本研究は,自律性と職務満足との関係に与える能力および組織風土のモデレート効果を明らかにすることを目的とした。自律性,職務満足,能力,および組織風土測定尺度を用いて,介護サービス事業所の介護職員318名を対象に,インターネット調査を行った。まず,本研究で用いられた変数の独立性および信頼性を確認するため,探索的因子分析および信頼性分析を行った。次に,各変数間の関連を調べるため,相関分析を行った。そして最後に,自律性と職務満足との関係に与える能力および組織風土のモデレート効果を調べるため,重回帰分析を行った。分析の結果,能力と組織風土のモデレート効果が統計的に有意な水準で認められた。自律性はそれ自体職務満足に対して主効果を有するが,仕事の特性と個人の特性,仕事の特性と組織の特性は互いに相乗的に働き合いながら,職務満足の向上に寄与していることが示された。