最近,顧客はインターネットを通じて企業と一緒に製品を企画するような事例が注目されている。企業と顧客が直接的な接点を持つ新しい現実が現れたといえる。本稿は,企業と顧客における新しい関係に注目し,これを小売企業システムの構築に関連づけて議論を行った。
まず,これまでの小売業主導型流通システム論をレビューし,その理論的限界を明らかにした。次に,顧客起点の考え方とサービス・ドミナント・ロジックにおける価値共創の概念及びモデルを議論し,既存理論の限界を克服することを試みた。そして,新たな価値共創型小売企業システムのモデルを提示した。