現代の企業には,社会性と経済性を一体化した価値の創造を経営活動全体で展開していくことが求められているが,その実践手法も研究アプローチも未だ模索状態である。そこで本稿では,「企業と社会」論における戦略の議論,戦略論における社会性の議論の先行研究レビューを行い,社会戦略と呼ばれる概念を軸に両論の接点を探った。その結果,戦略論における社会性とは,社会と能動的に関わっていくことであり,「企業と社会」論の分析的で受動的なアプローチを補完できる可能性を見出した。さらに,両論の理論的共通基盤を提供する枠組みとしてドメインの可能性を検討し,今後の研究アプローチの方向性を見出した。