英語の発表技能の指導において和文英訳の意義が積極的に論じられることはまれになった。しかし,和文英訳の意義が否定されたわけではない。また,その指導法についても,「和文和訳」による「中間日本語」の生成を経て英語に訳すというプロセスが定石として確立している。ただし,そこでは,学習者が和文をパラフレーズする能力に英訳の成否が依存してしまうという問題点が残される。この点を補うために筆者が行った,「中間日本語」を生成する段階で和文のパラフレーズに依らない「直訳」的なプロセスの指導について,その概要を報告する。